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アライアンス(事業提携)のアドバイス・推進

新規事業立ち上げや既存事業の拡大を、自社1社だけで行うことには、限界があります。外部の企業といかに組むか、すなわち、アライアンスが大切となります。

特に、経営資源が不足しがちな中小ベンチャー企業や限られたリソースで新規事業を立ち上げようとする大手企業にとっては、なおさらです。売上・利益を生み出す事業には、必要となる要素がいくつかありますが、それが足りない時も、外部企業とアライアンスをすることで補うことができます。変化が激しく、競争が激化している今日、事業展開のスピード・アップをし、成功確率を高めるためには、アライアンスを積極的に活用していくことが大切です。

オープン・イノベーション(外部企業が開発したものを取り込み、内部のものと組み合わせる考え方。ヘンリー・チェスブロウが2003年から提唱)も、外部と組むという面で、アライアンスの活用と言えます。クローズド・イノベーション(自前主義)やNIH症候群(Not Invented Here。自分達で開発したもの以外は意味がないという考え方)から脱却して、現状を打開していくためにも、アライアンスは、有益です。

なお、アライアンスとは、「複数の企業が独立したままの状態で、新規事業構築や既存事業の事業拡大のために、各企業が持つ経営資源を提供し合って相互補完し、契約の締結や資本関係の有無に関わらず、継続的な協力を行って、その成果を分け合うこと」と定義付けることができます。(詳しくは、冨田賢(2017)『IoT時代のアライアンス戦略』を参照してください。)

アライアンス(事業提携)の
5つのメリット

アライアンスには、次のようなメリットがあります。

Merit1

スピード・アップできる!

1社だけで事業展開に取り組むよりも、スピードをアップすることができます。たとえば、想定顧客となるターゲット企業群とのリレーションをすでに持っている企業とアライアンスをすれば、1から営業活動を行うよりも、早い売上獲得ができます。また、不足しているリソースを外部企業とアライアンスすることで補うことで、より力強い、スムーズな事業展開ができます。足りない部分を、自社だけで積み上げていくことを考えるよりも、すでにそれを有している企業とアライアンスする方策のほうが有効と言えます。

Merit2

成功確率をアップできる!

新しい事業領域に、自社だけで、進出しようとするよりも、すでにその領域のことに知見のある企業と組んで、新規事業展開をすることを目指すほうが、成功確率が高くなります。やはり、1社だけで、新しい領域に出ようとするより、アライアンスを有効に行って、サポートを受けながら、進出を目指すほうが得策です。また、各企業には、得意なことと苦手なことがあり、苦手なことや不足している経営資源を他社とアライアンスすることで、補完することが可能となります。

Merit3

事業構築ができるようになる!

事業構築をするにあたり、不足する“要素”を外部企業とアライアンスすることで、補うことができ、収益が上がるようにできます。1社だけで、事業構築にあたって必要な“要素”をすべて整えるのは難しいです。これは、新規事業のアイディアについても言え、新規事業のアイディア出しができない場合にも、自社が提供できる経営資源があれば、アイディアはあるが、経営資源が不足している企業からアイディアの提供をアライアンスによって受けることができます。

Merit4

リスクをシェアリングできる!

自社1社だけで、新しい事業に取り組もうとすると、すべてのリスクを1社で取ることになります。そこを、複数の外部企業とアライアンスをして事業構築・事業展開をすることによって、利益は分け合わないといけなくなりますが、リスクもシェアリングすることができるようになります。なかなか新規展開に踏み込めない場合には、特にメリットとなります。

Merit5

「ディール・フロー」からの売上アップ

ディール・フロー(Deal Flow)」とは、案件の流れのことで、M&Aやベンチャーキャピタルの業界でよく使われる言葉かもしれませんが、様々な業種・状態で、同じような考え方・取り組みができます。つまり、自社で直接営業開拓するのではなく、紹介で案件(仕事)が入ってくるような形にして、自社だけで苦労して営業するだけでなく、自然に案件が入ってくる流れを作ることが有効です。こういった提携先による「ディール・フロー」からの売上アップができることも、アライアンスのメリットの一つです。

アライアンスのパターン

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企業規模や業歴からみたアライアンスのパターン

アライアンスのパターンとしては、企業規模別では、大手企業と中小ベンチャー企業、大手企業同士、中小ベンチャー企業同士があります。また、業歴でみれば、業歴の長い中小企業と業歴の若いベンチャー企業というパターンでの捉え方もできます。

2

提携内容・機能別から見たアライアンスのパターン

提携内容・機能別で見ると、次の図のようにアライアンスには、主に7つのパターンがあります。

【アイディアがある企業と資金がある企業】のアライアンス事例

3

交換する経営資源から見たアライアンスのパターン

アライアンスは、経営資源(技術資源、人材資源、生産資源、販売資源、資金資源など)の交換だと考えられます。アライアンスをする企業間で、同じ経営資源を交換するのか、異なる経営資源を交換するのかの2つのパターンに分けられます。また、同じ業界内でアライアンスをするのか、異なる業界間でアライアンスをするのかでも、2つのパターンに分けられます。これらを合わせると、下記の図のように、4つのタイプにアライアンスを分類できます。これを、「アライアンス・マトリックス」と言います。アライアンスを検討する際には、この4つのタイプのどこに当てはまるアライアンスなのか、分類をして、検討することが大切です。

同じ業界に
おける提携
異なる業界
との提携
同じ種類の
経営資源を交換
タイプA タイプC
違う種類の
経営資源を交換
タイプB タイプD

4

新規事業立ち上げの3つの段階別アライアンスのパターン

新規事業の構築は様々な条件を考慮し、段階別に行うことになります。
主に下記の3つのパターンに分類されます。

  • 1

    共同開発段階での
    提携パターン

    研究開発・商品開発の段階から、外部と共同で行う。売るためのモノ作りの段階でのアライアンス。
    メーカーのアライアンスのメイン。

  • 2

    事業構築段階での
    提携パターン

    事業の立ち上げにおいて、足りない機能の部分で、外部を活用する。強みと弱みの相互補完で、お互いの強みを使って立ち上げる。事業提携のメイン。

  • 3

    M&A(買収)して、
    テコ入れするパターン

    ある程度できていて、テコ入れすれば伸びそうな事業を買収する。時間を資金で買うイメージ。(厳密な定義では、アライアンスではなくM&A。)

アライアンスは、
強みと弱みの相互補完!

アライアンスは、自社の強みを提供して、弱みを補完するためのものです。A社の弱みをB社の強みで補い、B社の弱みをA社の強みで補う「相互補完関係」が大切となります。相互補完関係がより強い時に、引き合う力が強く、アライアンスが成立しやすいと考えられます。アライアンスは、一種の“Give & Take”です。

アライアンスが成立しやすい状態とは、2社間の相互補完関係が強い時と言えます。相互補完関係が強ければ強いほど、アライアンスは成立しやすく、相互補完関係が弱いと、アライアンスが成立しにくいということとなります。(詳しくは、冨田賢の学術研究のWebページに掲載している論文(こちら)や、冨田賢(2017)『IoT時代のアライアンス戦略』の第2部をご参照ください。)

フローの概念とGive and Takeの考え方を導入すると、フロー・インテンシティ(Flow Intensity)が強く、フロー・バランス(Flow balance)が保たれている時となります。たとえば、次の図のように、8つの特徴での強みと弱みのやり取りの例(強み・弱みを5段階で評点)で考えてみましょう。そうすると、A社の有する強みと、B社の有する強みの差し引きした矢印が強みのやり取りの度合いとなります。(数学的には、強み・弱みを1次元行列で表現し、強みのやり取りの度合いを2極のベクトルで示す形となります。)

アライアンスのマッチング数理モデルの内容は、こちら

アライアンス成立しないパターン 1

片方の企業の評点がすべて高い時つまり、一方的な強みの提供でワンサイドの関係の時(フロー・バランスが崩れていると言います)は、Give and Take(相互補完)が成り立たないため、アライアンスは成立しません。

アライアンス成立しないパターン 2

2社の強みと弱みがすべての特徴において同じ時も、A社とB社が引き合う力がない(フロー・インテンシティがないと言います)ため、アライアンスが成立しません。

最大の相互補完関係の状態とは・・・

最大の相互補完の関係の時、つまり、最大のフロー・インテンシティ(Flow Intensity)で、フロー・バランス(Flow Balance)が均衡している状態の時、最もアライアンスが成立しやすい状態となります。
数学的には、特徴数の半分の数で、双方向で、最大の大きさの2極のベクトルが存在する時となります。

実際の実務でのアライアンスのマッチングにおいても、アライアンスのマッチング数理モデルの考え方が役に立ちます。

なお、「相互補完強度係数」は、2次元のマップ上の最大の相互補完の点(マキシマム・ポイント)からの距離で、数学的に表現されますが、詳しくは、冨田賢の学術研究のページの各論文を参照してください(こちら)。また、冨田賢(2017)『IoT時代のアライアンス戦略』の第2部に詳しい解説を載せています。

アライアンス数理モデル・係数算出システムはこちら

アライアンスで
失敗しやすいポイントとは?

アライアンスをするためには、次のような失敗をしないように注意をすることが必要です。

どういう観点からのアライアンスかを正確に考えずに、なんとなく、一緒にやりましょう、という形で進めても、アライアンスはうまく進まないです。上記の機能別のアライアンスのパターン分けやアライアンス・マトリックスを活用していくことが大切です。

② アライアンスをする2社間の“Give & Take”のバランスが取れたものではなく、片方の企業が提供するだけ、もう片方の企業は受け取るだけという片務的な状態(専門的には、「フロー・バランス 」が崩れていると言います)になっているとアライアンスは、うまく進みません。フロー・バランスが取れたアライアンスを検討・推進することが大切です。

③ アライアンスは、強みと弱みの相互補完関係が強いことが重要(専門的には、「フロー・インテンシティ」が強いと言います)であるにもかかわらず、強みと弱みが似通った2社間でアライアンスをしようとしても、フロー・インテンシティが弱いため、アライアンスがうまく進みません。強みと弱みが逆のような2社の組み合わせでのアライアンスを考えていくことが大切です。

TOPICS1

人材獲得の観点からもアライアンスは、有効です!

新規事業が1社だけでやれない大きな理由は、「人材」の問題のことが多いです。中小ベンチャーでは、人材の余剰はなく、大手企業では新規事業にフィットする人材が社内にいないなど、 「人材」の獲得が重要になります。

提携先を選ぶ際に、相手企業にいる人材を良く見る!
この人を新規事業チームに入れるために、この会社と組む!
という目線を持ち、「人材」を獲得できるかという観点で、提携先を見ることも有効です。

TOPICS2

アライアンスによる新規事業展開のメインシナリオ!(時間スパン)

◎オーソドックスな計画は、2年間くらいです。

TOPICS3

大企業と中小ベンチャー企業のアライアンス

ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授(当時)は、著書『イノベーションのジレンマ』の中で、「大企業は、既存の製品や顧客、設備を持っているがゆえに、破壊的なイノベーションを生み出しにくい」ということを述べました。

これは、大企業だけでなく、業歴の長い中堅・中小企業も同じことが言えます。新規事業のアイディアを有しているベンチャー企業との提携が重要となります。

CVC JAPANでは大企業と中小ベンチャー企業の提携が円滑に行えるようにするサポートも行っております。なお、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の活用も、この“イノベーションのジレンマ”の解決につながります。

TOPICS4

ディール・フロー(販路)となる提携先を増やす!

案件を紹介してくれる提携先を増やすことで、継続的に案件が入ってくる体制を構築し、Deal Flow(案件の流れ)の確立は、常に行っていくべきことです。マンパワーが限られている中では、特に、営業効率が大切ですので、Deal Flowになる提携先は、どんどん、増やしていくことが肝要です。

最初は、数が多ければ多いほどよいと考えて、難しく考えず、かき集めるイメージ感じで、様々なパターンを試してみることよいと思います。

営業先が同じ企業同士による営業先の共同利用のアライアンス事例
  • 事例1

    業歴の長いPOSレジの会社とGoogleマップ上位表示のMEOサービスを行うベンチャー企業の提携

  • 事例2

    介護事業者向けに物販(おむつ等)を行う中堅企業と、介護ヘルパーの勤怠管理をスマートフォンで管理システムを提供しているベンチャー企業

  • 事例3

    アスベストの調査分析をしている中小企業と、工場の排水システムの上場企業(子会社)の営業面での提携

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CVC JAPANが選ばれる3つの理由

  • 01豊富な立ち上げ実績

    社長の冨田賢は、この約15年で、約1万枚以上の名刺交換をしており、約4000社の企業との接点を有しています。状況に応じて、提携先を紹介することも行えます。実際、これまでに、約200社のコンサルティング案件の中で、アライアンスをマッチングしてきた実績があります。

  • 02VC視点での分析

    CVC JAPANは、受託運用しているCVCファンドの案件発掘や投資先企業のフォローアップを行っており、それらのノウハウを有しています。CVCファンドの運用による経験・得られた知見をコンサルティング・サービスにおいて、提供することができます。

  • 03アカデミックな知見

    社長の冨田賢は、慶應大からアライアンス研究で、博士号を取得しており、学術的なバックグラウンドを有しています(元・立教MBA教授(特任)です)。国際学会での発表や学術ジャーナルへの投稿の経験も有しています。理論的に正しいアライアンスに関する助言ができます。

お問い合わせからコンサルティング
スタートまでの流れ

STEP1申し込み
当サイトのお問い合わせフォームから、お問い合わせいただきます。その上で、メールにて、CVC JAPANのオフィス(南青山)での打ち合わせの日時を調整いたします。
STEP2お打ち合わせ
当社オフィスでの打ち合わせにより、抱えておられる課題や目指しておられることなどをお聞きして、どのようにCVC JAPANで対応できるか検討します。
STEP3契 約
料金体系に沿って、毎月の定例ミーティングの回数や月額のコンサルティング料について、取り決めます。A4・表裏1枚のコンサルティング契約を締結します。
STEP4コンサル開始
コンサルティング契約に基づいて、サービス提供を開始します。

メッセージ

経営資源が不足している中小ベンチャー企業や、限られたリソースで新規事業を立ち上げようとしている大手企業は、是非、アライアンスを検討して、推進すべきです。外部環境変化が激しく、競争もシビアになっている今こそ、アライアンスは有力な手法となります。是非、CVC JAPANが有するノウハウや理論、ネットワークを活用して、新規事業立ち上げや既存事業の拡大を加速させてください。お問い合わせ、お待ちしております。

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このWebページに関する
冨田賢の著書のご紹介

【単著】
『IoT時代のアライアンス戦略
~人工知能の進化とマッチング数理モデルの提案』

(白桃書房、2017年)
●日本経営会計学会から学会賞受賞

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