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中央経済社の『旬刊 経理情報』の巻頭に冨田賢の寄稿が掲載されました!「コーポレートVC設立で、新規事業開拓を!」

2019.07.01

お知らせ

中央経済社の『旬刊 経理情報』の巻頭に冨田賢の寄稿が「コーポレートVC設立で、新規事業開拓を!」 と題して、CVCに関する寄稿が掲載されました!

ほとんどの上場企業さんが講読されている雑誌とのですので、会社にこの雑誌あるよ!という方も、
けっこういらっしゃるかもしれません。

1200字で、冨田賢のCVCに関する主張をまとめています。

最近、CVCへの関心、世の中で高まっているように、肌で感じます。

★寄稿内容のPDFファイルは、 こちら!eiriJouho_Danron_Tomita

※この雑誌は、東大、一橋、慶應などの教授や経済界の方々が、

順次、執筆されています。

【参考 過去の「談・論」登場者(肩書きはご執筆当時)】 加藤寛(千葉商科大学長),斎藤静樹(東京大学経済学部教授),中谷巌(一橋大教授),藤井裕久(民主党 最高顧問),安崎暁(㈱小松製作所 顧問),樋口廣太郎(アサヒビール名誉会長),塩崎恭久(参議院議員),中地宏(日本公認会計士協会長),松井道夫(松井証券代表取締役社長),石井茂(ソニー銀行代表取締役社長),奥田碩(トヨタ自動車会長),平松一夫(関西学院大学学長),町村信孝(自由民主党 衆議院議員),米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター教授),加護野忠男(神戸大学大学院経営学研究科教授),中川一巳(三井物産代表取締役副社長)など多数。

旬刊経理情報 「談・論」 原稿

コーポレートVC設立で、新規事業開拓を!

2014年くらいからの好業績から、内部留保を増加させている大手企業が多い。また、手元資金が豊富となり、実質、無借金経営となっている大手企業も、統計によると半数を超えている。この状況は、かつては、良い経営と言われたが、今日では、資金を有効活用していないという面で、良い経営とは言われなくなってきている。PBRやPERが低くなり、株主からの責めを負いかねない。

このような状況下、注目されているのが、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)である。一定資金を別枠でプールしてCVCを設立し、スタートアップ企業への投資を通じて、それら企業と連携し、それを新規事業立ち上げにつなげていく戦略である。日経新聞2019年4月30日によれば、2012年からの5年で、事業会社によるスタートアップ企業への投資は8倍に増加している。

CVCとは、通常のベンチャーキャピタル(VC)とは異なる。通常のVCは、フィナンシャル(金銭的)なリターンのみを求めて、投資を行うが、CVCは、事業会社によって設立されるVCであり、フィナンシャルなリターンではなく、ストラテジック(戦略的)なリターンを目指すものである。つまり、有望なスタートアップを探し出して、①新規事業のための技術シーズや事業シーズの獲得、または、②本業との事業シナジーの獲得を目指して投資して、投資先と積極的に連携していくことを目指す。いかに、コラボレーションしていけるかどうかを、最重視する。

このようなCVCの設立・運用が求められる背景やメリットには、昨今、スタートアップの立場が強くなり、投資もしない大企業は、有望なスタートアップが付き合ってくれないという状況がある。これが大きな理由である。そのため、特に、メーカーは、社名だけでは、スタートアップへの投資の意思がわからないので、CVCを設立して、自分たちはスタートアップへ投資を行うつもりがあります、ということを明確にしておくことが大切である。CVCファンドを設立すれば、シグナリング効果が出て、向こうから情報が集まるようにもなる。さらには、新規のものに投資をして、新規事業をアクティブに立ち上げようとしている企業は、投資家からの評価も高まり、株価向上のためのIR対策にもなる。

CVCの設立は、中央研究所等を有していても、大企業は、いわゆる“イノベーションのジレンマ”でなかなか、自分たちだけでは、画期的な新しいイノベーションを生み出せないという現状の打開策となる。
内部留保をだぶつかせ過ぎずに、有効活用し、次の時代の収益源の構築を目指して、CVCという手法・ツールを用いて、新しいことを果敢に進めていくことを考えてみてはどうであろうか。
そして、こういった企業の活動は、企業内部に眠ってしまっていた資金が、新しい産業創造に振り向けられていくものと捉えられる。日本経済の活性化に寄与する活動として、大いに期待したい。

冨田 賢(とみた・さとし)
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 特任教授
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程修了、博士号(Ph.D.)取得。京都大学大学院経済学研究科 修士課程修了、経済学修士。主な著書に「新規事業立ち上げの教科書」、「IoT時代のアライアンス戦略」など。コーポレート・ベンチャーキャピタル・ジャパン(CVC JAPAN)代表取締役社長として、CVCファンドを複数運用している。カリフォルニア大学サンディエゴ校 客員研究員。

冨田 賢

Satoshi Tomita, Ph.D.

CVC JAPAN株式会社 
代表取締役社長

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